丁度コロナが流行り始めた2020年初頭、近所に突然お洒落なお店ができた。
とにかく、外観も窓から見える内装も、練馬とは一線を画するお洒落さで、ただ物ならぬ雰囲気がとても気になる店。
白い壁面に、ツタのような植物が絡むナチュラルな外観。
白壁に映える、厚い木の板で出来た入口のドア。
そして、店内は木目を基調とした白い壁に、濃茶の家具調度が引き立っていて、置かれている小物もアンティーク調なのが、死ぬほどお洒落。
けれど、看板を見ると「写真館」の文字。
写真館かぁ・・・・。自分の写真、撮る目的ないしなぁ・・・・。
ため息をついて、店の前を通り過ぎるばかり。
気になりつつも入るのに気おくれするお洒落な空間
ところが、今年の春先のある日、「珈琲挽いています」という看板が出始めた。
「珈琲・・・。ここで飲めたら最高だろうな」
そう思いつつ、あまりにセンスがハイレベルすぎる店内の様子を見て、自分の服装を顧みて、
「なんだか浮きそうだな、私・・。」
ため息をついて、そっと通り過ぎる日々。
意を決して「今日は行くぞ!」と、ちょっとおしゃれをして通ってみると、その日に限ってカフェはお休みだったりして。
写真館のかたわらで焙煎所&珈琲店を営んでいるようで、撮影の仕事が入っている日は珈琲店は休業らしい。
こうしたすれ違いが何度かある度、珈琲店への興味は高まっていった。
ついに67焙煎所の中へ
そして、ついに先日、お店の中に入る機会が、やってきた!
店の前を通ると、珈琲店の看板が出ている!
どうやら今日は、開いているらしい。
厚い木の板の入り口のドアを、緊張しながら押し開けると、見るからにセンスの良い、ダンディな男性がカウンターから笑顔で迎えてくれた。
カメラマンが経営する珈琲店。
職人気質の無口な店主が、にこりともせずに出迎えるものと勝手に想像していた。
しかしそれは杞憂だった。
私が初めて訪れたことを伝えると、
「僕が酸味のある珈琲があまり得意ではないので、うちのコーヒーは深煎りなんですよ」とコーヒーの2種の産地の違いと特徴を笑顔で説明してくれる気さくなオーナー。
緊張がふっとゆるみ、肩の力が抜けた。
看板のイラストが、見事にオーナーの特徴を捉えているな。
迷った私は、その2種類の豆のブレンドのアイスコーヒーを注文。
食べ物は、デニッシュのほかにホットドッグもあるらしいのだが、おなかがさほど空いていなかったのでデニッシュをチョイス。
「お好きな席へどうぞ」と言われ、しばし、迷う。
なぜなら、店内どこもかしこも、「絵になる空間」だから。
絵になる店内とコーヒーの香りに癒されるひととき
散々迷った挙句に、店内全体を見渡せる、革張りソファー席を陣取る。
他にお客様がおらず、選び放題だったのが幸いというもの。
全体を見渡しながら、あらためてそのセンスの良さにため息が出る。
清潔感のある明るい白木の壁面に濃茶の家具調度が美しいコントラストを織りなし、かつ落ち着く癒しの空間。
白い壁には、くすみパステルのドライフラワーが、なんともセンス良く掛けられ(この語彙のなさ・・・)、ドライフラワーの間には、筆記体のメモ書きの紙が、不規則だけれど調和して貼られていて、全体としてお洒落可愛い雰囲気。
反対側の壁際には、レトロな黒電話など昭和なアイテムが置かれていたり、
窓際にはアンティーク調のランプや地球儀が置かれていたり。
ナチュラルだけどカントリー調に傾いていないのは、黒い看板が差し色となって引き締めていて、都会的なスタイリッシュさを加えているからかもしれない。
「センスとは何か」に向き合わされる世界観
そして、店内にはな都会的ナチュラル感のインテリアをを引き立てるピアノジャズがBGMで流れていて、世界観が見事に統一されていて心地よい。
写真家という、一瞬の美しさを切り取り永遠に残すことを生業としている方のセンスの凄さを、全身で吸収する贅沢な時間。
そんなセンスの洪水を浴びていると、「自分もセンスがよくなりたいな・・・」と、忘れていた願望が、ふと蘇ってきた。
でも、「センスが良いって、どういうことだろう・・・?」
バランス?
個性?
時代性?
どれもそうだけれど、センスが良い人って確固たる「美の基準」があって、ぶれない気がする・・・。
これまで、「この人って、センスが良いな」と思う人には、独自の美の基準があり、自分の美意識にそぐわないものは徹底的に選ばないというこだわりがあったことを思い出す。
丁寧に淹れられた薫り高いコーヒーでくつろぎのひととき
センスについて、あれこれ考えを巡らせていると、アイスコーヒーが到着。
一口飲むと、深煎り珈琲の豊かな苦みが、とても美味しい。
9月初旬でも、まだまだ30度超えの暑さで火照った体を、心地よくクールダウンしてくれる涼味。
他の種類の珈琲も、どんな味がするのか知りたくなる。
そして、ほどなくしてデニッシュが到着。
ほかほかに温められたふわふわなデニッシュに、甘い香りのバニラクリームがかかっていて、その甘さが珈琲と合う!
お腹がすいていたら、もう1枚追加するところだった。
俯瞰図
コーヒーを頂きながら、店内を見渡すと、大きなストロボライトが置かれていて、改めてここが写真館だという事を思い出す。
こんな空間で写真を撮ったら、素敵な写真ができるんだろうな。
目の保養もできて、美味しいコーヒーも楽しめる贅沢なひととき。
また、今度、来よう。
Shop Information
67焙煎所さんは、カメラスタジオと兼営のため、不定期営業との事なので、インスタグラムで営業日をチェックしてから来店するのをおススメします。
そのインスタグラムが、これまたセンスの塊!
デザインが好きな方なら、必見!
ホームページも、珈琲店と写真館とでは別サイトに分けているようです。
アクセス
西武池袋線または都営大江戸線練馬駅南口から徒歩7分。
練馬駅から消防署と警察署に面した通りを直進すると、道の右側にあります。
〒176-0013
東京都練馬区豊玉中3-14-12 グリーンコーポ豊玉1F
コメント